離婚届が“私の履歴書”になった話
結婚して30年以上になります。
これまでに私は20枚以上の離婚届を書いてきました。
古いものには「妻が育てる子ども」の欄に
子どもたちの名前が並んでいます。
まるで、私の人生の履歴書のようです。
離婚を考えた理由は数えきれません。
モラハラ、暴力、浮気、ギャンブル……。
世の中の離婚理由ランキングをすべて制覇したといってもいいくらいです。
それでも 今机の隅に置かれている最新の離婚届は白紙のまま。
もう出すことはないと分かっていながら
捨てることもできずにいます。
これは「覚悟の証」のようなものなんだと思います。
夫の“わがままな生き方”
夫は昔から、わがままに生きている人です。
その生き方は身体に正直に表れ
長年いくつかの生活習慣病を抱えています。
そして最近 原因のはっきりしない難しい病が見つかりました。
いまは『闘病』というより『病気と一緒に暮らす』毎日です。
鼻から酸素を吸入しながら過ごすことになった日常を
最初はどう受け止めていいか分からず ただ戸惑いました。
それでも今では 酸素のチューブまでも夫の一部のように思えるようになってきたところです。
離婚届を眺めながら、少しだけ優しくなれた
もちろん、不安が消えたわけではありません。
離婚への迷いも、生活への不安も、波のように押し寄せます。
それでも、本人が驚くほどポジティブで
その姿に救われることも多いのです。
提出することのない離婚届を眺めながら
私はお互いが『息苦しくならない距離』を保って夫をサポートしています。
それと同時に、自分自身の足で立つためにこうしてブログを書いています。
なにより書き出すことで気持ちが落ち着くのです。
夫から学んだ「生きる」ということ
人は誰でも、何かを抱えながら生きている。
夫との日々の中で、そんな当たり前のことをようやく実感できるようになりました。
もし昔のボロボロだった自分に会えるなら、こう伝えたい。
「この先、夫から学ぶこともあるんだよ」と。
──今日も、机の隅の白い離婚届をそっとしまい直して
酸素の音を聞きながら、またいつもの日常を続けています。
これからこのブログでは
夫の体調や医療。それに関わる制度やお金。
そしてそこから見える暮らしや心の変化も書いていこうと思います。
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