「長男くんの学校でスクールカウンセラーをしています。長男くんは今、どうですか?」
担任の先生の連絡が少なめになった頃、今度はスクールカウンセラーが登場しました。
担任の先生が紹介してくれたスクールカウンセラーも、なかなかの頻度でわたしに電話をくれました。
「とにかく保健室に来てください。長男くんが来られないならお母さんが来てください」
と呼び出されました。
一応、息子に確認したけれど、返事すら返ってこない状況だったので、結局私が行くことにしました。
子供を3人も通わせていた中学なのに初めて入る保健室。
『保健室』と書かれたドアをノックして、中に入りました。
そこには、網タイツを履いたわたしと同世代のスクールカウンセラーが座っていました。
何度も聞かれていることをまたここで聞かれていました。
そして彼女は疲れ切ってるわたしに、
「不登校は普通の道から外れてしまった。ということです。そしてその道が元の道に戻ることはほぼありません」
と言い放ちました。
「えっ?ほぼないとは、事例がないということですか?」
聞き返したわたしに、網タイツが自信たっぷりに答えました。
「はい、そういうことです」
網タイツを見ながら吐きそうになるわたしに、
【不登校児や障害を持つ子のための通信高校一覧】
と言う分厚い本を渡してきました。
『息子にあったこともないこの人になんでこんなものを渡されるのか』
彼女は続けました。
「不登校になる子は障害を持つ子も多いです。有名なカウンセラーがいる病院を紹介します」
「とても権威のある先生です」
『行くわけがない』そう思って詳細は聞きませんでした。
帰り道、わたしは初めて会った網タイツに言われた単語を何度も頭の中で繰り返していました。
『普通の道、逸れた道、もどれない、障害、難しい』
不登校から飛躍したその言葉たちを一旦しまい込み、玄関を開けました。
リビングには誰もいなくて、怒った顔を見られなくて済んだことに安堵しました。
渡された本を見ると、考えたこともなかった学校の名前がたくさんありました。
分厚いその本は、廃品回収でも出すときに目立つと思いました。
普段は誰も開けない棚に後ろ向きで仕舞いました。
念のため、その本の前にももう一冊小さな本を置きました。
帰宅しても息子の部屋のドアは閉じたままでした。
その日だけは、それを見て『よかった』と思いました。
「不登校は普通の道から外れてしまった」とスクールカウンセラーに言われた日|不登校の相談で
